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再燃または再々燃したB型慢性肝炎とB型肝炎給付金 -弁護士が教える再燃・再々燃慢性肝炎の給付金額やこれを受け取るための要件-

  • B型慢性肝炎と診断されてから20年以上経ってると、1250万円はもらえないの?
  • B型慢性肝炎で和解したけど、150万円または300万円しかもらえなかった

このような状況にある方はいらっしゃいませんか?
このような状況にある方であっても、B型慢性肝炎を再発ないし再々発し(以下、それぞれ「再燃慢性肝炎」、「再々燃慢性肝炎といいます。)、一定の条件に該当すれば、1250万円または1250万円と既に受け取った給付金との差額を受け取ることができるようになりました。
本記事では、再燃慢性肝炎及び再々燃慢性肝炎の給付金額や受給手続について説明します。

1 はじめに

B型肝炎給付金は、集団予防接種等*¹によってB型肝炎ウイルス(HBV)に持続感染*²した方*³やその相続人に対して支払われる給付金です。B型肝炎ウイルスを原因とする慢性肝炎(B型慢性肝炎)を発症した方は、B型肝炎給付金を受け取ることができる可能性があります(慢性肝炎であっても、C型慢性肝炎やアルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、自己免疫性肝炎などのB型肝炎ウイルスを原因としない慢性肝炎は、B型肝炎給付金の対象ではありません。)。

B型肝炎給付金の請求は、社会保険診療報酬支払基金という民間法人に行います。B型肝炎給付金の請求を行う際には、給付金額等についての国との和解内容が記載された和解調書の提出が必要になります。そのため、B型肝炎給付金請求の前提として、国との和解を求めて、裁判を起こします。この裁判をB型肝炎訴訟といいます*⁴。

慢性肝炎の給付金額は、原則として1250万円、発症から20年を経過して除斥期間*⁵を経過してしまっている慢性肝炎(以下「除斥経過の慢性肝炎」といいます。)の場合は300万円または150万円です。
しかし、令和8年1月15日に全国B型肝炎訴訟原告団と国との間で、基本合意書(その3)が締結されました⁽¹⁾ 。これにより、当初のB型慢性肝炎について除斥期間が経過していたとしても、B型慢性肝炎が再燃した方や再々燃した方は、一定の条件を充たせば、1250万円または1250万円と既に受け取った給付金額との差額を受け取ることができるようになりました。

*¹ 集団予防接種等とは、集団接種の方法で実施する予防接種とツベルクリン反応検査のことです。
*² 持続感染とは、6か月以上継続する感染のことです。6か月未満で一応治った状態になる一過性感染と区別されます。
*³ 集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染した方には、一次感染者だけでなく、二次感染者と三次感染者も含まれます。集団予防接種等を直接の原因としてB型肝炎ウイルスに持続感染した方を一次感染者といいます。二次感染者は、一次感染者からの母子感染または父子感染によって持続感染した方です。三次感染者は、母子感染者からの母子感染または父子感染によって持続感染した方です。
*⁴ B型肝炎給付金には請求期限があります。2027年3月31日までに裁判を起こさなければなりません。
*⁵ 除斥期間とは、権利行使をしないまま一定期間を経過してしまうと、その権利が消滅するという制度またはその期間です。B型肝炎給付金との関係では、被害者救済の観点から、権利の全部が消滅するのではなく、一部が消滅する(給付金の減額)にとどめられています。

2 再燃慢性肝炎及び再々燃慢性肝炎の意義

当初のB型慢性肝炎を発症したときから20年経っていても1250万円の給付金の対象になるのは、以下のⒶ〜Ⓒのいずれかを発症した方です。

HBe抗原陽性慢性肝炎がHBe抗原セロコンバージョン(以下「HBeセロコン」といいます。)を経て鎮静化した後に発症したHBe抗原陰性慢性肝炎(以下「再燃HBe抗原陰性慢性肝炎」といいます。)

HBe抗原陰性慢性肝炎が鎮静化した後にHBe抗原リバースセロコンバージョン(以下「HBeリバースセロコン」といいます。)を起こし、その後に発症したHBe抗原陽性慢性肝炎(以下「再々燃HBe抗原陽性慢性肝炎」といいます。)

HBe抗原陰性慢性肝炎について担当医が治療不要と判断した後に発症したHBe抗原陰性慢性肝炎(以下「再々燃HBe抗原陰性慢性肝炎」といいます。)

HBe抗原陽性慢性肝炎は、HBe抗原が陽性のときに発症するB型慢性肝炎です。HBe抗原陰性慢性肝炎は、HBe抗原が陰性のときに発症するB型慢性肝炎です。

HBe抗原は、B型肝炎ウイルスの部品です。B型肝炎ウイルスが増殖する際に、他の部品と一緒に作られます⁽²⁾ 。しかし、B型肝炎ウイルスは、増殖を繰り返すうちに遺伝子変異を起こし、HBe抗原を作らなくなります⁽³⁾ 。
そして、体内のB型肝炎ウイルスの大半ないし全部がこの遺伝子変異を起こしたB型肝炎ウイルスに置き換わることで、HBe抗原が陰性になり、HBe抗体*⁶が陽性になります。この現象をHBeセロコンといいます。

また、稀にではありますが、HBeセロコンを起こした後にHBe抗原が陽転し、HBe抗体が陰転することがあります。この現象をHBeリバースセロコンバージョンといいます。

上記Ⓐ〜Ⓒのいずれかを発症した方は、再燃慢性肝炎または再々燃慢性肝炎の発症時が除斥期間の起算日になります。
そのため、再燃慢性肝炎または再々燃慢性肝炎の発症日から20年以内に提訴をすれば、給付金は1250万円となります。
また、除斥経過の慢性肝炎で既に和解をして給付金を受け取っている場合、和解となった訴訟を提起した日が再燃慢性肝炎または再々燃慢性肝炎の発症日から20年を経過していなかったのであれば、1250万円と受け取った給付金の金額との差額を受け取ることができます。この場合の手続は追加給付金請求手続ではなく、訴訟手続であり、再度訴訟提起をする必要があります。

なお、再々燃慢性肝炎は、再燃慢性肝炎の発症日を起算日としたとしても除斥期間が経過してしまう場合に意味を持ちます。

*⁶ HBe抗体は、HBe抗原を体外に排出するために産生されるたんぱく質です。B型肝炎ウイルスの部品となっているHBe抗原を捕捉することはできないのですが、B型肝炎ウイルスの部品とならずにそのまま血中に放出されたHBe抗原を補足して体外に排出します。

3 再燃HBe抗原陰性慢性肝炎または再々燃慢性肝炎で和解する条件

(1) Ⓐ再燃HBe抗原陰性慢性肝炎で和解する条件

再燃HBe抗原陰性慢性肝炎で和解するためには、次の条件を証明する資料を提出する必要があります。

HBe抗原陽性慢性肝炎を発症したこと

HBeセロコンを起こしたこと

肝炎が鎮静化したこと

HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したこと

ア ①HBe抗原陽性慢性肝炎を発症したこと

①HBe抗原陽性慢性肝炎の発症を証明するためには以下の(Ⓐ)〜(Ⓒ)のいずれかの資料を提出します。

【(Ⓐ)ALT*⁷を基準とする資料】次の(①)〜(③)の全て

(①) 6か月以上の間隔を置いた2時点のALT異常値の検査結果(2時点の間隔が相当長期である場合や2時点の間に異常値の継続を疑わせる検査結果がある場合などの特段の事情がある場合を除く)
(②)

①)のALT異常値B型肝炎ウイルスに起因することを証する医療記録等

(③)

(①)の時点でHBe抗原が陽性だったことを証する医療記録等

*⁷ ALTは、肝障害の指標になる酵素です。ALTが異常値だと肝機能障害を起こしている可能性が高いことを意味します。GPTとも呼ばれます。


【(Ⓑ)総合判断資料*⁸】

医学的知見を踏まえた総合的判断によりHBe抗原陽性慢性肝炎の発症を認めるべきカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録等

*⁸ 総合判断資料を選択するのは、次のような場合です。
・早期の段階で核酸アナログ製剤を開始したため、ALTの異常値継続が6か月未満に収まる場合
・ALTは正常値だが、肝生検や画像検査で慢性肝炎の所見がある場合


【(Ⓒ)救済措置】
次の(①)(②の両方

(①)

HBe抗原陰性慢性肝炎発症前の慢性肝炎の発症を確認できる医療記録

(②)

HBe抗原陽性かつHBe抗体陰性の検査結果を確認することが困難であることを証する医療記録、医療記録の不存在証明書、陳述書等

 なお、(Ⓒ)については、提出する資料((①)や(②)だけでなく提出する一切の資料)から、(①)の慢性肝炎がHBe抗原陰性慢性肝炎であることを窺わせる事情が確認されないことも必要です。

イ ②HBeセロコンを起こしたこと

②HBeセロコンを起こしたことを証明するためには、以下の(Ⓐ)〜(Ⓒ)のいずれかの資料を提出します。

【(Ⓐ)HBe抗原・抗体を基準とする資料】

①のHBe抗原陽性慢性肝炎発症後かつ④のHBe抗原陰性慢性肝炎発症前の時点におけるHBe抗原陰性とHBe抗体陽性を確認できる検査結果の原データまたは医療記録


【(Ⓑ)総合判断資料】

医学的知見を踏まえた総合判断により、①のHBe抗原陽性慢性肝炎発症後④のHBe抗原陰性慢性肝炎発症前の時点でHBeセロコンを起こしたと認めるべきカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録等


【(Ⓒ)救済措置】
次の(①)と(②)の両方

(①) ①を証明する資料(HBe抗原陽性慢性肝炎を発症したことを証明する資料)
(②) ④を証明する資料((①)HBe抗原陽性慢性肝炎発症の後にHBe抗原陰性慢性肝炎を発症したことを証明する資料)

ウ ③肝炎が鎮静化したこと

③肝炎が鎮静化したことを証明するためには、以下の(Ⓐ)〜(Ⓒ)のいずれかの資料を提出します。

【(Ⓐ)ALTを基準とする資料】次の(①)と(②)の両方

(①)

②の時点以降における6か月以上持続するALT正常値の血液検査結果

(②)

(①)の期間中の医療記録(同期間中に抗ウイルス療法が実施されていないことを確認できることが必要)


【(Ⓑ)総合判断資料】

医学的知見を踏まえた総合判断により、②の時点以降における抗ウイルス療法がされていない状態の観察期間内において慢性肝炎が鎮静化したと認めるべきカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録


【(Ⓒ)救済措置】
次の(①)〜(③)の全て

(①)

①のHBe抗原陽性慢性肝炎について提出可能な全ての医療記録

(②)

肝炎の鎮静化を示す事情(通院の有無・内容、自覚症状がなかったこと等)についての患者または遺族の陳述書

(③)

以下のⓐ〜ⓓのいずれかの資料

ⓐHBe抗原陽性慢性肝炎発症後、かつ、HBe抗原陰性慢性肝炎の6か月以上前のALT正常値を示す医療記録

ⓑHBe抗原陽性慢性肝炎発症後、かつ、HBe抗原陰性慢性肝炎発症の6か月以上前のHBeセロコンを示す医療記録

ⓒHBe抗原陽性慢性肝炎が鎮静化した旨の担当医の意見書または陳述書

ⓓ担当医以外の医師その他医療関係者の肝炎鎮静化に関する陳述書等及び患者の生活状況等に関する親族の陳述書(ⓐ〜ⓒを提出できない場合に限る)

エ ④HBe陰性慢性肝炎を発症したこと

④HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したことを証明するためには、以下の(Ⓐ)または(Ⓑ)の資料を提出します。

【(Ⓐ)ALTを基準とする資料】次の(①)〜(③)の全て

(①)

③の後における6か月以上の間隔を置いた2時点のALT異常値の血液検査結果(2時点の間隔が相当長期である場合や2時点の間に異常値の継続を疑わせる検査結果がある場合などの特段の事情がある場合を除く)

(②)

(①)のALT異常値B型肝炎ウイルスに起因することを証する医療記録等

(③)

(①)の時点でHBe抗原が陽性だったことを証する医療記録等


【(Ⓑ)総合判断資料*⁸】

医学的知見を踏まえた総合的判断により、③の後におけるHBe抗原陰性慢性肝炎の発症を認めるべきカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録等

 

(2) Ⓑ再々燃HBe抗原陽性慢性肝炎で和解する条件

再々燃HBe抗原陽性慢性肝炎で和解するためには、次の条件を証明する資料を提出する必要があります。

再燃HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したこと

再燃HBe抗原陰性慢性肝炎が鎮静化したこと

②の後にHBeリバースセロコンを起こしたこと

③の後にHBe抗原陽性慢性肝炎を発症したこと

ア ①再燃HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したこと

①再燃HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したことを証明するための資料は(1)で説明した資料です。

イ ②再燃HBe抗原陰性慢性肝炎が鎮静化したこと

②再燃HBe抗原陰性慢性肝炎が鎮静化したことを証明するためには、以下の(Ⓐ)または(Ⓑ)の資料を提出します。

【(Ⓐ)ALTを基準とする資料】次の(①)と(②)の両方

(①)

①の発症後における6か月以上持続するALT正常値の血液検査結果

(②)

(①)の期間中の医療記録(同期間中に抗ウイルス療法が実施されていないことを確認できることが必要)


【(Ⓑ)総合判断資料】

医学的知見を踏まえた総合判断により、①の発症後における抗ウイルス療法がされていない状態の観察期間内において慢性肝炎が鎮静化したと認めるべきカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録

ウ ③②の後にHBeリバースセロコンを起こしたこと

③②の後にHBeリバースセロコンを起こしたことを証明するためには、以下の(Ⓐ)または(Ⓑ)の資料を提出します。

【(Ⓐ)HBe抗原・抗体を基準とする資料】

②の後の時点におけるHBe抗原陽性とHBe抗体陰性を確認できる検査結果の原データまたは医療記録


【(Ⓑ)総合判断資料】

医学的知見を踏まえた総合判断により、②の後にHBeリバースセロコンを起こしたと認めるべきカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録等

エ ④③の後にHBe抗原陽性慢性肝炎を発症したこと

④③の後にHBe抗原陽性慢性肝炎を発症したことを証明するためには、以下の(Ⓐ)または(Ⓑ)の資料を提出します。

【(Ⓐ)ALTを基準とする資料】次の(①)〜(③)の全て

(①)

③の後における6か月以上の間隔を置いた2時点のALT異常値の血液検査結果(2時点の間隔が相当長期である場合や2時点の間に異常値の継続を疑わせる検査結果がある場合などの特段の事情がある場合は除く)

(②)

(①)のALT異常値がB型肝炎ウイルスに起因することを証する医療記録等

(③) (①)の時点でHBe抗原が陽性だったことを証する医療記録等


【(Ⓑ)総合判断資料*⁸】

医学的知見を踏まえた総合判断により、③の後におけるHBe抗原陽性慢性肝炎の発症を認めるべきカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録等

 

(3) Ⓒ再々燃HBe抗原陰性慢性肝炎で和解する条件

再々燃HBe抗原陰性慢性肝炎で和解するためには、次の条件を証明する資料を提出する必要があります。

再燃HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したこと

①について担当医が治療不要と判断したと認められる状態になったこと

②の後にHBe抗原陰性慢性肝炎を発症したこと

ア ①再燃HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したこと

①再燃HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したことを証明するための資料は(1)で説明した資料です。

イ ②①について担当医が治療不要と判断したと認められる状態になったこと

②①について担当医が治療不要と判断したと認められる状態になったことを証明するためには、以下の(Ⓐ)〜(Ⓒ)のいずれかの資料を提出します。

【(Ⓐ)ALTとHBVDNA*⁹を基準とする資料】次の(①)〜(③)の全て

(①)

①の発症後における9か月以上持続するALT正常値の血液検査結果

(②)

(①)の期間中持続するHBVDNA正常値*¹⁰の血液検査結果

(③)

(①)の期間中の医療記録(同期間中に抗ウイルス療法が実施されていないことを確認できることが必要)

*⁹ HBVDNAは、B型肝炎ウイルスの遺伝子です。異常値であれば、肝炎を発症しやすい状態にあることを示します。
*¹⁰ HBVDNAが正常値か異常値かの基準値は検査方法や検査の実施時期によっても異なりますが、次の数値であれば原則として正常値とされます。
・ポリメラーゼ活性検査:30cpm/ml以下(ただし、検査結果に基準値が記載されている場合にはその基準値による)
・分岐(鎖)プローブ法:0.7Meg/ml未満(ただし、検査結果に基準値が記載されてる場合にはその基準値による)
・液相(核酸)ハイブリダイゼーション法:5pg/ml未満(ただし、検査結果に基準値が記載されている場合にはその基準値による)
・TMA/HPA法:平成19年までの検査では5.0Log copy/ml以下、平成20年以降の検査では4.0Log copy/mlまたは3.3LogIU/ml未満
・PCR(アンプリコアHBVモニター法):平成19年までの検査では5.0Log copy/ml以下、平成20年以降の検査では4.0Log copy/mlまたは3.3LogIU/ml未満
・リアルタイムPCR:4.0Log copy/mlまたは3.3LogIU/ml未満
なお、この正常値は、B型肝炎ウイルスを原因として肝炎を発症する可能性が低い数値というだけであり、陰性や不検出を意味するわけではありません。


【(Ⓑ)ALTと検査経過を基準とする資料】
次の(①)と(②)の両方

(①)

①の発症後における9か月以上持続するALT正常値の血液検査結果

(②)

(①)の期間中の医療記録(ⅰ 同期間中にHBVDNA検査を実施していないことを確認できることとⅱ 担当医が治療不要と判断したとは認めることができない特段の事情に関する記載がないことが必要)


【(Ⓒ)総合判断資料】

担当医が診療当時の医療水準を踏まえてHBe抗原陰性慢性肝炎の治療を不要と判断したと認められるカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録及びそれと同等の証明力を有する証拠*¹⁰
*¹⁰ これらの資料から、9か月以上の積極的な検査(生検)や治療(特異的治療)を行なっていないことが確認でき、担当医の説明等によって、担当医が当時の医療水準を踏まえて治療不要と判断していた(例えば、HBe抗体陽性無症候性キャリアや非活動性キャリアとの判断)と評価できる場合には、治療不要と判断したと認められる状態になっていたと評価されます。

ウ ③②の後にHBe抗原陰性慢性肝炎を発症したこと

③②の後にHBe抗原陰性陰性肝炎を発症したことを証明するためには、以下の(Ⓐ)または(Ⓑ)の資料を提出します。

【(Ⓐ)ALTを基準とする資料】次の(①)〜(③)の全て

(①)

②の後における6か月以上の間隔を置いた2時点のALT異常値の血液検査結果(2時点の間隔が相当長期である場合や2時点の間に異常値の継続を疑わせる検査結果がある場合などの特段の事情がある場合は除く)

(②)

(①)のALT異常値がB型肝炎ウイルスに起因することを証する医療記録等

(③) (①)の時点でHBe抗原が陰性だったことを証する医療記録等


【(Ⓑ)総合判断資料*⁸】

医学的知見を踏まえた総合判断により、②の後におけるHBe抗原陰性慢性肝炎の発症を認めるべきカルテや各種検査結果の原データ等の医療記録等

 

4 まとめ

B型肝炎給付金は、集団予防接種等によってHBVに持続感染した方やその相続人に対して支払われる給付金です。

除斥経過の慢性肝炎の給付金は150万円または300万円ですが、再燃慢性肝炎や再々燃慢性肝炎を発症した方は、最初に発症した慢性肝炎では除斥期間を経過してしまうという場合であっても、再燃時や再々燃時から20年を経過していなければ、1250万円または1250万円と受け取った給付金との差額を受け取ることができる可能性があります。

B型肝炎給付金を受け取るためには、様々な資料を集めて裁判を起こし、自分が対象者であることを証明しなければなりません。その証明のためには、医学的・法律的な専門的知識が必要になりますし、医療記録の精査などのとても労力のかかる作業も必要になります。特に再燃慢性肝炎や再々燃慢性肝炎での和解を求める場合には、時期的に古い時期の医療記録が必要になることが多い上、内容的にも専門性が高いため、他の病態での和解を求める場合より資料収集に多くの困難を伴う傾向にあります。

弁護士法人クローバー東京法律事務所にはB型肝炎訴訟に精通した弁護士が在籍しております。もし、あなたやご家族様の慢性肝炎が再燃慢性肝炎や再々燃慢性肝炎かもしれないと思われるのであれば、お気軽に弁護士法人クローバー東京法律事務所にご相談ください。経験豊富な弁護士が全力であなたをサポートします。

⁽¹⁾    厚生労働省.“基本合意書(その3)について”.厚生労働省ホームページ.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/b-kanen/index.html,(参照2026-01-16)
⁽²⁾ 横須賀收.B型肝炎治療の進歩.日本消化器学会雑誌.2018,115(1):p.10-18.https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/115/1/115_10/_pdf/-char/ja,(参照2026-01-16)
⁽³⁾    四柳宏,池田和彦.B型肝炎ウイルスの変異と治療.日本消化器学会雑誌.2008,105(2):p.199-205.https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/105/2/105_2_199/_pdf/-char/ja,(参照2026-01-16)

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執筆者情報

弁護士 藤林 裕一郎
弁護士 藤林 裕一郎
東京弁護士会所属
この記事の執筆者:弁護士 藤林 裕一郎
1000件以上のB型肝炎訴訟を担当。被害者救済を信条とし、粘り強く事件に取り組む。検査結果やカルテが全くない事案、再活性を起こしている事案など、解決困難事例とされるケースも多数和解に導いてきた実績をもつ。B型肝炎給付金手続についての詳細はこちら
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